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doLuck jazz Supported DLS-4
(Autumn Leaves Record) 2,400円(税別)
12月20日発売

 
Red Nights - Tetsujin Jazz Concert Recording
/ Kisyo Kamakura Trio


鎌倉規匠(ds)
ウラジミール・シャフラノフ(p)
楠井五月(b)
ゲスト:
岡本管(sax) on 3
ウィリアムス浩子(vo) on 8,9,10

2019年10月5日・北九州市若松市民会館大ホールでライヴ録音

■収録曲(試聴できます)
01 I've Never Been In Love Before
02 Old Folks
03 The Promise
04 When October goes
05 Whisper Not
06 Shabon-Dama
07 Red Nights
08 A Time For Love
09 黄昏のビギン
10 Poinciana
11 What A Wonderful World

Liner Notes

~若松鉄人ジャズ23ライヴ:創始者故和田寛市氏に捧ぐ~
    (2019年10月5日北九州市若松区市民会館大ホールでのライヴ録音)

若松鉄人ジャズが和田寛市氏によって創始されて23年、年1回の今年のジャズ祭は特別の意味を持っていた。2019年5月22日に急逝した和田氏が壮絶な闘病生活の中にあって、かねてより親交のあった世界的レジェンド・ピアニスト、ウラディミール・シャフラノフと今や日本を代表する歌姫と言っても過言ではないウィリアムス浩子を共演させたいという熱い願いを死の直前に送っていたからだ。その願いにすぐさま2人は呼応し、鉄人ジャズの演奏側リーダーであり、北九州市出身で、関東一円で活躍中のドラマー、鎌倉規匠とウラディミールの信頼が厚いベーシストの楠井五月、それに地元のテナー・サックス奏者、岡本管が参加する形で約700人の聴衆を前にコンサートが挙行され、終わってみるとジャズ史に残ると言っても過言ではない魂のこもった演奏がライヴ録音された。出演者が皆、通常のスタンバイでの演奏ではなく、天国にいる和田さんへ大好きな曲を届けたいという気概を込めてプレイをしていたからだ。兎に角、最初から気迫が違った。ウラディミールには和田さんの願う曲を事前に伝えていたが、最も嘱望していたのは奥さんとの馴れ初めの曲「黄昏のビギン」であった。生前に聴く願いは叶わなかったが、彼の伴奏でウィリアムス浩子の歌を聴きたいと涙ながらに語っていたのが脳裏に焼き付いて離れない。また、10月という秋に聴くのにふさわしいジョニー・マーサーの「When October Goes」も和田さんの願いの曲であった。昨年、ウラディミールにこの曲を紹介、彼にとっては初めての曲だったが、とても気に入り、会うたびに「When October Goes」と口ずさんでいたのが印象に残っている。そんな和田さんの願いを熟知した彼がこの2曲を渾身のエネルギーを集中させてプレイしてくれ、本アルバムに結晶として残っている。
アルバムのオープナーはブロードウェイのミュージカル「Guys & Dolls」から1950年、フランク・レッサー作の「I've Never Been In Love Before」。軽快にピアノ・トリオで進行。続いて1938年、ウィラード・ロビンソン作曲のスタンダード「Old Folks」、3曲目にサックスの岡本管が加わり、ジョン・コルトレーン作の「The Promise」を演奏。コルトレーン信奉者の岡本の熱いブローが聴きもの。4曲目はジョニー・マーサーの遺稿にバリー・マニロウが曲をつけた感涙のバラード「When October Goes」で天国の和田さんに届くようありったけの感情をこめて演奏された。この曲は涙なくしては聴けない曲だ。続いてトリオ演奏で定番の1956年、ベニー・ゴルソン作の「Whisper Not」がプレイされ、童謡である「シャボン玉」のジャズアレンジの「Shabon-Dama」、鎌倉規匠のオリジナルで夜の赤い若戸大橋を表現した「Red Night」と続く。そしていよいよウィリアムス浩子が登場し、ロマンチックな極みで人々への愛を表現する1966年のジョニー・マンデル作曲、ポール・フランシス・ウェブスター作詞の「A Time For Love」。この世のものとは思えない伸びやかで声量のある美声による絶品の歌唱だ。和田さんもきっとそう思っていることだろう。続いて、和田さんが望んで止まなかったちあきなおみの大ヒット曲「黄昏のビギン」。ウラディミールの絶妙なバッキングで、涙をこらえながらあらんばかりの技巧をつくして歌う彼女の姿が目に浮かび、天国の和田さんの微笑みが脳裏をよぎる。続いて1936年、ナット・サイモン作、名ピアニスト、アマッド・ジャマルによって有名となったトロピカルで素敵な曲「Poinciana」を歌い、最後はトリオで1968年、ジョージ・ダグラス&ジョージ・デイヴィッド・ワイス作でルイ・アームストロングが歌って有名な「What A Wonderful World」が演奏された。ウラディミール・シャフラノフ、楠井五月、鎌倉規匠、岡本管、ウィリアムス浩子の5人の真心が結集した至高の時を刻む追悼コンサートであったことは間違いない。日本から世界へ発信する傑作ライヴ録音の一つである。(ライナー・ノーツ:2019.12.9.後藤誠一 記)