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doLuck jazz DLC-8
2,400円(税別)
3月16日発売予定

 
Gentaro Takahashi Sings Jazz with Akira Matsuo Trio

高橋元太郎(vo)
松尾明(ds)
田村博(p)
緑川一男(b)

2015年11月28,29日 前橋・スタジオ8で録音

■収録曲(試聴できます)
01 Danny Boy
02 La Mer (Beyond The Sea)
03 The Rose Tattoo
04 Solitude
05 On A Slow Boat To China
06 Harbour Lights
07 Softly, As In A Morning Sunrise
08 For Sentimental Reasons
09 Over The Rainbow
10 Cheek To Cheek
11 Johnny Guitar
12 For The Good Times

Liner Notes

Gentaro Takahashi Sings Jazz 高田敬三
 テレビ番組「水戸黄門」の「うっかり八兵衛」でお馴染みの高橋元太郎は、昔は、元祖アイドル・グループといわれた「スリー・ファンキーズ」の初代メンバーで歌手だった、ということを知らない人も案外いるかもしれない。片岡千恵蔵や大坂志郎など素晴らしい先輩の俳優さん達と仕事をするのに歌手と二股は、失礼であると考え、歌を封印し俳優業に徹してきた彼だが、近年になって講演会などでファンの方々から「また昔みたいに歌って欲しい」と云う声を多く貰い2011年の芸能生活50周年記念のディナーショウを契機に音楽活動を再開した。それ以来、不定期だが、ホテルやライヴ・ハウスでロカビリー、歌謡曲、カントリー、外国のポピュラー・ソングなどを歌ってきている。
 今回のアルバムは、2013年に「ローマで乾杯」というマキシ・シングルを一緒に出した女優の山口いづみのライヴにゲストで出演した折にドラマ―の松尾明から提案されて作られたものだという。松尾は、マーサ三宅やMAYAなど多くのジャズ・ヴォーカリストの伴奏を勤め、ジャズ・ヴォーカルを熟知しているドラマ―だ。高橋自身もジャズのスタンダード・ナンバーをもっと歌いたいと思っていたところだったので、ぴったりの企画だった。今年(2016年)は、彼の芸能生活75周年なのでその記念の初CDをという意味もある。伴奏陣は、ドラマ―の松尾明、歌伴の上手さでは定評のある田村博(p)と緑川一男(b)が選ばれている。そして、本アルバムのディレクターでもある松尾の『年配の親しい仲間が集まって楽しんでいる寛いだ雰囲気』というコンセプトで作られたという。選曲も老若男女、初めてジャズを聞く人、元々のジャズ・ファンと様々な人が楽しめるように、良く知られた、誰でも何時か何処かで聞いたことのある様な歌を集めたという。この辺りに役者として培ってきた周囲への気配り、聞き手に対する想いやりといったものが、感じられる。彼の歌は、その素晴らしい声の魅力もさることながら、彼の人間性の滲み出た温か味のあるアプローチで聴き手を心地よくさせてくれる。ここで歌っている「バラの刺青」をヒットさせた、あのペリー・コモを思い出させるような気持ちの良い歌だ。
 高橋元太郎は、1941年1月15日、東京で生まれ、小学生時代に上高田小学校の少年合唱団(のちのアニメソングで有名な上高田少年合唱団)に参加。􀀀都立松原高校卒業後 証券会社に就職し約1年で退社。ジャズ喫茶「銀座テネシー」のオーディションで合格しウエスタンバンド「ワゴンスターズ」の専属となった。􀀀 ある日、銀座「テネシー」にて様々なバンドのステージを観ていた日本テレビの売れっ子ディレクターにより、3つのバンドの中から長沢、高橋、鎌田の3名がピックアップされ、元祖アイドル・グループといわれる「スリー・ファンキーズ」が結成された。
 1961年2月にTVに初出演、同年8月には「日劇ウエスタン・カーニバル」にも初登場した。1962年1月に東芝EMIから「スリー・ファンキーズ・ヒット・パレード」を発表してレコード・デビュー。シングル盤も「でさのよツィスト」(1962年5月)「、涙の日記」(1962年5月「) スチール・ギターとワイン・グラス」(1962年7月)があり、NTVの番組「シャボン玉ホリデー」、「夢であいましょう」等の多くの番組にも出演している。
 1962年6月に「スリー・ファンキーズ」を退団してソロ歌手として独立する。􀀀そして東芝レコードから映画『駅前飯店』の挿入歌「ぼく/あの娘の星」、ハリー・ベラフォンテとナット・キング・コールのカバー「ダニ―・ボーイ/ランブリン・ローズ」、マイク・ベリーとロス・マチュカンボス楽団のカバー「ロンリネス/太陽は燃えている」を続け様に発表した。その後、日本コロンビアへ移り「筏流し/恋は狐火」などをリリース。あまり知られていないが、1965年~ 67年の約2年間はNHK子供向け番組「おかあさんといっしょ」で初代「歌のお兄さん」としても出演していた。当時の流行っていた海外アーティストによるテレビ番組や映画では、「ザ・モンキーズショー(デイビー・ショーンズ役)」「ビートルズがやって来るヤァ !ヤァ !ヤァ(! ポール・マッカートニー役)」の吹き替えなども担当。
 意外なところでは、海外ドラマ「密林王国ダクタリ」主題歌や特撮ドラマ『兄弟拳バイクロッサー』主題歌などのテレビ番組主題歌や大阪近鉄バファローズの球団公式ソング「近鉄バファローズの歌」「炎えろ!近鉄バファローズ」なども吹き込んでいる。近年では、女優の山口いづみとのデュエット「ローマで乾杯」が最新作となる。
 1970年にTBSの連続テレビ番組「大岡越前」の岡っ引き役、そして「水戸黄門」の「うっかり八兵衛」役をもらい、それに全力投球する為に歌を封印して俳優に徹することにして、「水戸黄門」は、2000年の第28部まで31年間、ほとんど休まずに、歴代のレギュラー出演者では最多の868話に出演。ナショナル劇場での総出演本数は、1300話にも昇る。このような多くのTV出演に加えて、10指を超える劇場映画にも出演している。􀀀現在は、俳優を中心としたタレントとしての活動、全国各地での講演活動、ライブやショ―での歌手活動など多方面で活躍している。
■曲目解説
1) Danny Boy(ダニー・ボーイ)
「ロンドンデリーの歌」として知られるアイルランド民謡にフレデリック・ウェザリーが1913年に詞を書いたといわれる。愛する息子の帰りを待ちわびる親を歌った歌といわれる。高橋元太郎は、最初をピアノだけの伴奏で語るように歌いさびの部分からドラムスとベースが参加、中間部は、ピアノ演奏を挟んで切々といた情感の籠った歌を聞かせる。
2) La Mer (Beyond The Sea)(海の彼方に)
シャルル・トレネが作詞作曲、1943年に発表したシャンソン。1947年にジャック・ローレンスが英詞を書いて、ボビー・ダーリンの歌でヒットした。「ラ・メール」は、海を眺めその神秘性から人生を想う様な歌詞だが、英詞は、海の彼方の愛する人を想う歌になっている。高橋元太郎は、ボビー・ダーリンの様にスインギ―に快調な歌で聞かせる。
3) The Rose Tattoo( バラの刺青)
ジャック・ブルックス作詞、ハリー・ウォーレン作曲。1955年の作品。同年のバート・ランカスター、アンナ・マニアーニ主演のテネシー・ウイリアムスの演劇に基づく同名の映画にインスパイアーされて書かれたという歌。ペリー・コモの歌で流行った。高橋は、心変わりしたバラの刺青をした男を何時までも愛する女の物語を優しく歌っている。
4) Solitude( ソリチュード)
エディ・デ・ランジェ、アーヴィング・ミルズ作詞、デューク・エリントン作曲。1934年の作品。一人、ポツンと椅子に座って忘れきれない君を想う、気が狂いそうだ、神さま、どうぞ愛する人を返してください。といった何とも悲しいナンバーを、ピアノの前奏のあと、重々しいムードのビリー・エクスタイン張りの歌で聞かせる。
5) On A Slow Boat To China( スロー・ボート・チャイナ)
フランク・レッサー作詞作曲。1948年の作品。当初は、ケイ・カイザーやベニー・グッドマンのオーケストラのレコードでヒットした。中国行きの遅い船に一緒に乗って君を私のものにしたい、といった歌、中国風のユーモアのあるピアノのイントロから、高橋は、気持良くスインギ―に歌っている。
6) Harbour Lights( ハーバー・ライト)
ジミー・ケネディ作詞、ヒュー・ウイリアムス(通称ウィル・ゴロズ)作曲。1940年の映画「ザ・ロング・ボヤジ・ホーム」で使われ、50年代にサミー・ケイ・オーケストラでヒット、1960年にザ・プラタ―ズの歌でリヴァィバル・ヒットした。船で去って行く彼女を夜の港で想う切ない別れの歌、高橋元太郎は、ムードたっぷりに歌う。
7) Softly, As In A Morning Sunrise( 朝日のようにさわやかに)
オスカー・ハマーシュタイン・ジュニア作詞、シグムンド・ロンバーグ作曲。1928年のオペレッタ「ザ・ニュー・ムーン」の中で紹介された。ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、MJQ等ジャズ・プレイヤーが好んで取り上げる曲。愛は、朝日のようにこっそりと忍びこみ、やがて燃え上がるけど、夕日の様に消えていってしまうものなのだよ、と云った歌、効果的な松尾のドラムをバックに、素晴らしい表現でこの歌を歌っている。
8) For Sentimental Reasons( フォー・センチメンタル・リ―ズンズ)
ディーク・ワトソン作詞、ウイリアム・ベスト作曲。1946年の作品。ナット・キング・コールの歌で1946年に大ヒットした。後にダイナ・ショアやエラ・フィッツジェラルドでもヒットしている。感傷的な恋の告白の歌をロマンチックに歌う。
9) Over The Rainbow( 虹の彼方に)
エドガー・イップ・ハ―バーグ作詞、ハロルド・アーレン作曲。1939年のジュディ・ガーランド主演の映画「オズの魔法使い」の主題歌。その年のアカデミー歌曲賞に輝いている。何と言ってもジュディ・ガーランドで有名なこの夢のあるナンバー、高橋元太郎も正面から堂々と歌い上げる。
10) Cheek To Cheek( 頬よせて)
アーヴィング・バーリン作詞作曲。1935年のフレッド・アスティアとジンジャ―・ロジャース主演の映画「トップ・ハット」の中でフレッド・アスティアが紹介した。二人が踊る場面で使われている。ほほ寄せ合って踊るのは天国にいる気分、これより幸せなことは無い、と云った歌を高橋元太郎は、滑らかに踊るがごとく楽しげに歌う。
11) Johnny Guitar( ジョニー・ギター)
ペギー・リー作詞、ヴィクタ―・ヤング作曲。1954年のジョーン・クロフォード主演の同名の映画の主題歌。ペギー・リーの歌が何と言っても有名だ。男性歌手が歌っているのはあまり聞かないが、高橋元は、男性用の歌詞に変えて切ないムードで歌っている。
12) For The Good Times( 心の想い出)
クリス・クリストファーソン作詞作曲。1970年の彼のファースト・アルバムで発表された。同じ年、レイ・プライスのレコードがカントリー・ミュージック・チャートの一位となり、アカデミー・オブ・カントリー・ミュージックの「ソング・オブ・ザ・イヤ―」に選ばれた。高橋元太郎は、レイ・プライスと同じように一部オーバー・ダブのコーラスを使って、優しく切ない別れの歌を歌う。
■松尾明トリオ メンバー・プロフィール
松尾 明(drums)/Akira Matsuo
東京出身。21歳で渡米、バークリー音楽院に留学、アメリカ国内で数多くのライブ経験を経て帰国後、菅野光亮トリオ、小西徹カルテット、八城一夫トリオ、ブルーコーツ・オーケストラなどを経て、現在は自己のトリオ、カルテットでマーサ三宅、MAYAなどのレギュラーを務めるかたわら、松尾明&TakeTen のリーダーとしても活躍。Take Ten では、日本と中国の国交で北京・上海公演も果たしている。スタジオミュージシャンとしても多くの作品に関わり、現在までの参加録音は60タイトルを超えている。またプレイヤーのみならず、プロデューサー、音楽監督を務めることもしばしばあり、その手腕を高く評価されている。スイングジャーナル』誌、人気投票では、2009年度から廃刊まで、ドラム部門3位にランクインされた。Big Band~Vocal唄伴まで幅広いドラミングが高く評価されている。
田村 博(piano)/Hiroshi Tamura
1953年横浜生まれ。新宿ピットイン「朝の部」にてプロデビュー。その後、中村誠一クインテット、福村 博クインテット、大森 明カルテット等を経て自己のトリオを結成、マーサ三宅、峰 純子をはじめとして数多くの歌手の伴奏を務める一方、村田 浩&ザ・バップ・バンドに参加し、バド・パウエルのピアノスタイルを追求した。その後、ビ・バップを基調としながらも、より自由なアドリブスタイルを摸索している。現在は、東京、横浜のライブハウスを中心に、実験的ジャズユニット「風狂知音」、小宅珠実4、ソロなどで活動中。恐竜グッズ収集家としても知られ、「開運なんでも鑑定団」「熱中スタジアム」などのテレビ番組や雑誌に度々登場している。恐竜倶楽部会員。ネットサイト「フェバリット・コレクション」http://www.f-favorite.net/でエッセイ「恐竜秘宝館」を連載集。
緑川一男(acoustic bass)/Kazuo Midorikawa
池田芳夫、鈴木 勲両氏よりジャズ理論、奏法を学び、横浜中華街のPiano Barでプロ入り。以後ソウルバンド、コーラスバンド、ダンスバンド等を経て新宿のジャズクラブ「カーニバル」などでで研鑽を重ねる。大沢保郎Trio、菅野光亮Trio, 甲斐恵美子Trio 等を経て現在、松尾 明Trio, 田村 博Trio、小林 洋&桂グループ、遠藤光男Duoなどでクラブ、ホテル、ステージなどで演奏中。