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doLuck jazz DLC-31
3,080円(税込)
11月19日発売

 
Echoes of Longing, Memories of Little Lights
/ Kyoko Sato Septet


佐藤恭子(as,ss)
石川広行 (tp, flh)
デイビッド・ネグレテ(ts,fl)
和田充弘 (tb)
武藤勇樹 (p)
佐藤潤一 (b)
北澤大樹 (ds)

2025年4月19,20日 前橋・夢スタジオで録音



■収録曲(試聴できます)
01 Yes Or No
02 En'nichi
03 Woodgrain - Prologue
04 Woodgrain - Dreaming
05 Lost Shoe, Fading Sunset
06 Metacognition
07 Here's That Rainy Day
08 October Sky In Tokyo
09 Benghalensis
10 Just Be Happy -午後3時、たい焼きやさんの前で

Preface

 “日本のジャズ”として語られる音楽は、一般的には日本人によるアメリカ民族音楽の継承や、日本の文化や風土を映し出すものとして捉えられることが多いかもしれません。
しかし、この作品は少し異なる視点で制作しました。20世紀アメリカで生まれ、瞬く間に世界へと広がったジャズ音楽のフォーマットを借りながら、日本で育った私自身の記憶や日常、歴史や社会への想いを静かに音にほどいていく試みです。
 私は、日本の“失われた10年世代”と呼ばれる氷河期世代の中で育ちました。
 成長や安定を前提とした社会の物語が崩れ、社会の仕組みや生き方、女性の役割が大きく変わり始めた時代です。現代日本で「未来の課題」とされるこの世代は、今もなお答えのない人生を模索しながら、もがきつつ少しずつ“自由”を感じ取り、それぞれの幸せを探し続けているように思います。大学時代にジャズとサックスに出会い、その後20代をアメリカで過ごす中で、“自由”という言葉の強さと、そこに内包される痛みや葛藤にも触れながら、ジャズ独特の即興性や予測不能な揺らぎの中に、自分自身の輪郭を探してきました。
 このアルバムにはいくつもの層があります。幼少期の記憶や文化の断片、日本の都市生活で感じる四季折々の気配や湿度。加速する世界への不安、社会の矛盾、そして未来への希望。
 収録曲はいずれも軽やかで遊び心を含みながら、その底には言葉にしきれない思いや背景が静かに流れています。この音楽は、過去を懐かしむものでも慰めでも解答でもなく、小さな問いかけとして、ジャズという枠を越えて—これは、2024-2025年という“今”を生きる私の、ささやかな記録であり、祈りのような表現です。
 もし聴いてくださる方が、ご自身の人生の記憶や日々の風景に重ねながら、それぞれの“今”を感じ取ってくださったなら、これ以上の喜びはありません。
佐藤恭子