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doLuck jazz DLC-13
2,400円(税別)
11月9日発売


 
Guilty / Mari Kobayashi with Sökonote

小林麻里(vo) 大橋祐子(p) 斎籐草平(b) 鎌倉規匠(ds)

2016年8月14,15日 前橋:夢スタジオ・スタジオ8で録音

■収録曲(試聴できます)
01 Caravan
02 Besame Mucho
03 Guilty
04 Speak Low
05 Amapola
06 A Taste of Honey
07 The Gift
08 You'd Be So Nice To Come Home To
09 My Romance
10 S’Wonderful
11 What a Difference a Day Made
12 Como fue
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Liner Notes

日独ハーフの美人シンガー、小林麻里のデビュー作が満を持して登場。 後藤誠一
小林麻里は吉祥寺の「メグ」や銀座を拠点に地道に活動を続けている知る人ぞ知る日独ハーフの美人ジャズ・シンガーである。とは言っても、日常は高校や専門学校で「情報学」の教鞭をとる教師。その教師と自由なジャズ・シンガーの2足のわらじを履く、今風の多様性をもった女性と言って良い。数年前、初めて「メグ」で彼女の歌を聴いた時は、まだまだ硬さとぎこちなさが残っていたが、このデビュー・アルバムを聴いて、正直驚いた。何と言う成長ぶりだろう。松尾明スクールで、日々、相当なヴォイス&ヴォーカル・トレーニングを積んだことが伺える。その努力の成果が表れ、ずいぶんと歌唱力が増しているではないか。彼女のジャズ・ヴォーカルに対するある種のパッション(情熱)が随所に聴きとれるのだ。
ジャズを歌うと言うことは、ある意味、自分の今までの人生をさらけ出すことに通じる。アルバム収録の歌を聴き通すと、歌に自分の感情を重ね合わせ、過去を土台に、今、この時を生きているという彼女の思いがひしひしと伝わって来る。聴衆を唸らす高みに登りつめた歌声ではなく、気軽に聴ける庶民性が溢れたさらりとした歌声となっているのが心地いい。歌い回しにまだまだ、危うい不安定さはあるが、そんな危うさも一興で、何とも親しみの湧くアルバムとなっている。「Guilty」という英語タイトルから、「やましさ」、「うしろめたさ」、「罪」、いろんな言葉が浮かんでくる。日本人歌手があまり歌わない、ビリー・ホリディの名唱で知られるこの「Guilty」(1931年、ガス・カーン&ハリー・アクスト作詞、リチャード・ホワイティング作曲)に挑戦し、タイトルにしてしまう何という潔さ、度胸満点の彼女だ。
CDの収録曲を見ると、日頃、よく歌うお馴染みのスタンダード曲やラテン・ナンバーの中に混じって、表題の「Guilty」やブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの名曲「Como Fue(恋はいつも突然に)」といった渋くて地味な曲がきらりと輝いている。よくぞこんな曲を選んだなと感心した。このアルバムは小林麻里のデビュー作にして、今後の彼女の成長を占う作品でもある。まだまだ、磨き所がいっぱいの彼女であるが、更なる精進と年輪を重ね、ジャケットの雰囲気から醸し出されるその圧倒的存在感から、次回作も期待度大。行く行くは日本のジュリー・ロンドンになって欲しいと願うのは私だけではないだろう。バックで支えるSӧkonoteの演奏も特筆すべきだ。小林麻里の歌を引き立てつつ、ピアノ・トリオとしての自己主張も欠かさない。
大橋祐子のピアノ、斎藤草平のベース、鎌倉規匠のドラムスが渾然一体となって、強靭なサポートを行い、聴く者に爽快感を与える。録音も、繊細さと高密度が同居したハイ・レベルなもので、音の拡がり、奥行きともに申し分がない。こんなアルバムを作る小林麻里はやっぱりguiltyな女かもしれない。ジャズ・ヴォーカル・ファンだけでなく、オーディオ・ファイルにとっても、是非とも座右の1枚にしてほしい作品だ。(2016.9.30.後藤誠一 記)